事業運営の一つの悩みとして、人材不足をあげる介護施設様は多いのではないでしょうか。
介護業界では、深刻な少子高齢化によって、介護を必要とする高齢者が増加する一方、
介護を担う若者が減少する悪循環に陥っており、人材の確保が一層難しくなっております。
人材不足を解決する一つの方法として、近年注目されているのが“外国人採用”です。
特にアジア圏の外国人にとって、介護の仕事は人気な職種です。
実際に介護の求人の募集には、1件の求人に対して平均20名以上からの応募がありました。(弊社実績より)
日本人の人材確保が難しい一方、なぜアジア圏の外国人に介護職が人気なのでしょうか?
その理由には、母国での文化・日本の在留管理制度に関係があるようです。
本記事では、アジア圏の外国人に介護職が人気な理由5つをご紹介していきたいと思います。
理由①若者が高齢者を敬う習慣があること
1つ目の理由は、多くのアジア諸国において「お年寄りを大切にする文化」が根付いていることです。
例えばベトナムでは「敬老得寿(老人を敬う者は、長寿を得る)」という言葉があり、家族で介護をすることが良いとされています。
また、フィリピンにおいても、高齢者の家族を宝として大事に扱うため、家族や親族間の助け合いを当たり前と考える人が多いようです。
このように、アジア圏の多くの国では、家族や高齢者を大切にする風習・文化があり、高齢者の方のお世話をしたいと考える方が多くいます。
理由②母国で介護経験があること
2つ目の理由は、「母国で介護経験があること」です。
上記でも述べた通り、「お年寄りを大切にする文化」が根付いているため、
家族介護が一般的で、家族介護の経験から介護職は身近な仕事であると考える傾向があります。
弊社で支援させて頂いているネパール出身のAさんも
「介護施設の利用者さんと接するときは、母国で祖父母の介護をしていた事を思い出します」
と話していたのが印象的です。
理由③長期就労への選択肢が明確であること
3つ目の理由は、「長期就労への選択肢が明確なこと」です。
一般的に外国人が日本で就労する場合には、就労が可能な在留資格を取得する必要があります。在留資格は、仕事内容や役職等によって細かく分類されております。
介護の仕事をする場合、「EPA介護福祉士候補者(特定活動)」「技能実習」「特定技能」「介護」のいずれかの在留資格が必要です。介護職の場合、一定条件をクリアすると他の在留資格への移行が可能になり、さらに「介護」の在留資格を取得することで原則無期限での就労も可能になります。
(※EPA介護福祉士候補者制度で入国する場合、在留資格は「特定活動」になりますが、ここではわかりやすく「EPA」の表現とします)
以下、各在留資格を簡単にご紹介します。
1)EPA介護福祉士候補者
EPAは日本と相手国の経済活動の連携強化を図るもので、
現在、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から介護福祉士候補者を受入れ、
日本の介護施設で働きながら、介護福祉士を目指す制度です。
EPAの在留期間は、4年となっており、4年目に介護福祉士の試験を受験をします。
また、介護施設で4年間就労した方は、特定技能へ移行することもできます。
2)技能実習
技能実習は、開発途上国の外国人を日本で一定期間雇用し、
日本の技術や知識を伝承するために設立された就労ビザです。
技能実習の在留期間は、最大5年となっています。
技能実習を修了した方(最低3年間)は、特定技能へ移行することが可能です。
3)特定技能
特定技能は、日本の深刻な人手不足を解消するために新設された就労ビザです。
技能実習を修了することで、特定技能へ移行が可能なため、
「特定技能」の在留資格を取得する外国人が急増しています。
特定技能の在留期間は、最長5年となっています。
4)介護
介護は、国家資格を有する外国人が介護の仕事に従事するための在留資格で、
介護福祉士や社会福祉士等の資格を取得することが取得条件となっています。
介護の在留期間は、原則無期限です。
理由④日本語能力の使用機会が多いこと
4つ目の理由は、「日本語の使用機会が多いため」です。
技能実習や特定技能のビザでは、介護以外にも飲食料品の工場スタッフや
電子部品の組み立てスタッフ、農業など様々な仕事に就くことができますが、
中には仕事柄日本人従業員や日本人のお客様と話す機会が少ない仕事も多くあります。
そのため、日本語能力を高めたいと考える外国人にとって、
チーム内の協力や連携、施設利用者様との会話をする機会が多い介護の職場は人気です。
実際に、介護職に従事する外国人は、他の職種に従事する外国人と比べて、
日本語能力が高いことが多く見受けられます。
理由⑤試験の機会が多いこと
5つ目の理由は、「試験の機会が多いこと」です。
理由③で説明した4つの在留資格のうち、特に取得件数が急増している在留資格は「特定技能」です。
「特定技能」の在留資格を取得し介護の仕事に就く外国人が増加している理由には、
他の職種に比べ資格の取得の機会が多いことがあげられます。
特定技能の在留資格を取得するためには、技能実習を修了することが必要ですが、
もし技能実習を修了していない場合、
特定技能測定試験と日本語能力試験N4以上の資格を取得することで
在留資格を得ることができます。
介護が他の職種とでは、特定技能測定試験の試験実施頻度と実施場所に違いがございます。
特定技能測定試験は、業種ごとに試験が実施されており、試験実施日が1年に数回の業種もございます。
一方、介護はほぼ毎日試験が実施されており、さらに海外(タイ、カンボジア、フィリピン、モンゴル、インドネシア、ミャンマー、ネパール、ウズベキスタン)での受験も可能です。
このように、介護分野は他の職種と比べ、試験の受験者が多く、
在留資格の資格取得のチャンスが多い職種となっております。
最後に
上記の理由により、介護の仕事を希望する外国人は年々増加し、
外国人にとって介護職は人気な業種となっております。
外国人を受入れる施設も増加しており、全国約16,500の医療・介護現場で外国人が活躍しています。
(2021年10月時点)
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