少子高齢化は、日本が直面する問題の1つです。
介護分野においては、介護施設を必要とする高齢者が増加する一方、
介護サービスを提供する労働者が減少しており、深刻な人手不足が続いています。
この状況を打開するために設けられた制度が外国人労働者を受け入れる「特定技能」制度です。
本記事では、介護分野における「特定技能」制度についてご紹介していきます。
目次
1 特定技能とは
1-1.就業期間
1-2.特定技能ビザ取得要件
①技能実習(介護分野)を修了(3年以上)
②試験資格の取得
③EPA介護福祉士候補者プログラムの修了
1-3.従事可能な業務
1-4.雇用可能な人数
1-5.待遇
2 特定技能生を受け入れるためには
2-1.登録支援機関への委託契約
2-2.特定技能協議会へ加入
3. まとめ
特定技能とは
「特定技能」制度は日本産業の深刻な人手不足を解消するため、新たに新設された在留資格です。
2019年より受入が開始され、現在は介護分野も含め全12業種での外国人労働者の受入が可能です。
2022年6月時点での介護分野における特定技能生は、10,411人となっており、年々その数は、増加しております。
今後も介護分野において、特定技能外国人の受入が拡大されることが期待されております。
参照:出入国在留管理庁ホームページ/特定技能在留外国人数の公表
就業期間
介護分野では、最大5年間の就業が可能です。
また、特定技能で就業中に「介護福祉士」の資格を取得した場合、
「介護ビザ」へ移行が可能となり、原則無期限での就業も可能です。
*介護福祉士試験受験には介護施設で3年以上の実務勤務経験が必要。
特定技能ビザ取得要件
外国人が介護分野で特定技能ビザを取得するためには3つの方法がございます。
外国人の「特定技能」ビザ取得方法
①技能実習(介護分野)を修了(3年以上)
②特定技能測定試験および日本語能力試験N4またはA2以上
③EPA介護福祉士候補者プログラムの修了
①技能実習(介護分野)を修了(3年以上)
1つ目の方法は、介護施設で技能実習を良好に修了(3年以上)することです。
技能実習修了者は、特定技能ビザへの移行が可能です。
②試験資格の取得
2つ目の方法は、「介護技能評価試験」および「日本語能力試験N4以上または国際交流基金A2以上」の資格取得です。
「介護技能評価試験」とは介護分野における専門性や技能、日本語を測る試験です。
日本国内だけではなく、海外10か国でも受験が可能です。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
介護技能評価試験 | 885 | 610 | 68.9 |
介護日本語評価試験 | 781 | 583 | 74.6 |
また、「日本語能力試験(JLPT)」「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-test)は
日本語能力を測るテストです。
日本語能力試験はN4以上、国際交流基金日本語基礎テストはA2以上が必要です。
日本語能力試験は国内の場合、1年に2回(8月・12月実施)、
国際交流基金日本語基礎テストは、ほぼ毎日実施されています。
▼日本語試験公式ホームページはこちら
日本語能力試験ホームページ
国際交流基金日本語基礎ホームページ
▼特定技能取得資格に関するコラムはこちら
「特定技能1号」の在留資格取得に必要な本人要件とは?
特定技能測定試験と日本語試験をご紹介!
③EPA介護福祉士候補者プログラムの修了
3つ目の方法は、「EPA介護福祉候補生」として4年間の就労・研修を適切に修了することです。
「EPA」とは、日本がインドネシア・フィリピン・ベトナムとの間で締結した経済連携の強化を目的とした協定のことを指します。
このEPAに基づき、介護福祉士としての資格取得を目指す外国人のことを「EPA介護福祉士候補生」といい、介護施設での就業が認められています。
EPA介護福祉士候補生は、4年間の就業が可能で、3年10か月が終了すると国家試験である「介護福祉士国家試験」を受験します。
特定技能へ移行するためには、この「介護福祉士国家試験」の成績が合格基準点の5割以上、全ての試験科目で得点があることが条件となります。
従事可能な業務
従事可能な業務は「身体介護などの業務」です。
*身体介護等の業務
利用者への心身の状況に応じた入浴・食事・排泄の介助等
上記の業務以外にも関連業務であれば、従事しても問題ございません。
例)お知らせ物の管理、物品の補充等
また、身体介護などの業務に従事させる場合でも、訪問介護の場合は従事できませんので、注意が必要です。
雇用可能な人数
雇用可能な特定技能生は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限となります。
例)A施設の日本人常勤介護職員数:20名
➡受入れ可能な特定技能生上限:20名
待遇
特定技能生への待遇は、同業務に従事する日本人と同等以上です。
給与だけでなく、福利厚生や有休なども同条件となります。
給与:勤続3年目の日本人従業員と同等以上
勤務時間:原則1日8時間以内、1週間に40時間以内
休日:少なくとも1週間1日以上
時間外手当:深夜勤務や残業をする場合、賃金は25%を上乗せ
有給:入社半年後に10日以上の有給を付与
特定技能生を受け入れるためには
特定技能生を受入れるためには、施設側での受入れ準備が必要です。
受入れ準備
①登録支援機関への委託契約
②特定技能協議会へ加入
①登録支援機関への委託契約
特定技能生を受け入れるためには、受入施設が法律で定められている義務的支援を行う必要があります。
ただし、特定技能生の受入実績がない、または義務的支援の実施が難しい場合は外部に委託することができます。
受入施設から委託を受けて、受入施設の代わりに義務的支援を実施する企業・団体のことを「登録支援機関」といいます。
また、義務的支援とは以下の10項目です。
- 事前ガイダンスの実施
- 出入国する際の送迎
- 生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援
- 定期面談・行政機関への通報
②特定技能協議会へ加入
特定技能生を受け入れる施設は、初めての特定技能生を受入れた日から4か月以内に、
「介護分野における特定技能協議会」の構成員になることが必要です。
協議会では、構成員の連携の緊密化を図り、各地域の施設が必要な特定技能外国人を受入れられるように、
制度や情報の周知、法令厳守の啓発や地域の人手不足の状況を把握し必要な対応等を行います。
まとめ
これまで介護分野における特定技能制度をご紹介してきました。
施設様が外国人採用をするにあたり、不安要素となるのが「日本語」でのコミュニケーションではないでしょうか。
介護分野での就業を希望する外国人の多くが技能実習経験者であるため、日本で3年以上の就業経験を持つとはいえ、日本語能力には個人差がございます。
そこで、初めての特定技能生の受入れには、登録支援機関を利用することをお勧めします。
登録支援機関は、上記で紹介した登録支援サービス以外にも特定技能資格候補者の紹介も行っている場合がございます。
特定技能資格候補者のスクリーニングをし、施設様のニーズに沿った人材の紹介を受けられることで、採用もスムーズに進みます。
弊社は、登録支援機関として登録支援サービスはもちろん、特定技能資格候補者の紹介も行っております。
下記のフォームより弊社サービスの資料ダウンロードが可能です。ぜひ、ご検討をお願いします。